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なぜ70年近く隔て、同じ時計を作るのか? それは、この方法論が有効だからだ。ジョージ・カーン率いるブライトリングが、ヴィンテージ・ブライトリングの収集コミュニティが昔から知っていたことを発見しているからである:ブライトリングの最も興味深いデザインの多くが、50年代から70年代にかけて発表されていることだ。ナビタイマー Ref. 806 1959リ・エディションは、2019年のバーゼルワールドで発表されたのを皮切りに、以来ブライトリングは歩みを止めることはなかった。新品 IWCゾロ風ダイヤルの“トップタイム”リ・エディションやスーパーオーシャン ヘリテージ '57の成功を思い出してほしい。カーンのアプローチに最初は懐疑的だった収集家のコミュニティも、このレトロへの舵切りを熱狂的に受け入れていると思う。
競合モデル
ブレゲ Type XXI 3810
ブレゲは、50年代にフランス軍に供給するためType XXを開発した。同時代のブライトリングと同様、これらのモデルはコレクター垂涎のアイテムとなっている。また、ブレゲはフランスの航空技術の発展に大きく貢献した。アントワーヌ・ブレゲの息子であるルイ・ブレゲは、1907年に初期のジャイロプレーンを製作し、ブレゲ・アビエーションがダッソー( Dassault )と合併する1971年まで、航空機の製造と設計を担った。ブレゲ・アビエーションの中で私が最も高く評価する飛行機は、短命ながらアメリカのマクドネル社にライセンス供与されたSTOL(短距離離着陸機)の941だ。しかし、製造されたのはわずか5機で、そのうちの1機は試作機だったという。
Type XXは38mm径の時計だったが、Type XXIは先代のデザインを現代のケースサイズのトレンドに合わせて42mm径にサイズアップしたモデルだ。ブレゲで最も有名なツールウォッチのデザインを現代風にアレンジしたものなのだ。
歴史を感じさせる素晴らしい時計だが、仕上げの面でRef.AVI 765とは異なる。その違いは、サイズアップしたケースにある。Ref.AVI 765が完全復刻であるのに対し、このモデルはそうではない。パイロットクロノグラフの特徴的なデザイン(ブラックダイヤルにアラビア数字と3連レジスターのレイアウト)はすべて踏襲しているが、オリジナルから少しかけ離れてしまったため、その過程で多くの魅力が失われたようにも見える。価格はSS製が159万5000円(税込・他にチタンとローズゴールド製もある)と、ブライトリングよりもずっと高価格帯になる。ブレゲが欲しいなら、それは当然の選択だろう。しかし、同じように歴史的な意味をもつブライトリングを99万円(税込)で購入し、残りの費用を飛行訓練に充てるのが賢い選択かもしれない。